2024年05月21日
■概要
不景気下で、いかにして成長するかが企業経営の最重要事項である。低成長局面における企業経営で有効な言い伝えがあり、それは「成長市場に身を置く」である。既存事業の周辺で成長機会を模索すると視野が狭くなる。
産業界全体を見渡し、この先に成長が見込まれる領域を抽出すると、実に様々な技術領域があることが分かる。数十年前にも、こうした抽出をしたことがあったが、実際に予測されていることの半分以上は実現されている。
■解説
事業革新の仕事をする過程で、産業全般にわたる技術革新の動向を調べる機会があった。調べた結果をまとめたのが上図の技術体系である。
様々な文献やネットの探索をしてみたが、特定分野の技術動向を一覧しているものはあるのだが、産業全般について広く浅く解説しているものは少なかった。そのため、広い分野での技術革新の動向を自分で整理する必要があった。
こうした技術革新の動向を一覧している資料がないということは、産業全般の技術革新の動向を、全体的に把握している人は少ないということになりそうである。
こうした技術革新の動向を見て、その周辺分野で自社に対応可能な領域を見つけ出し、先手を打った事業化を模索することが、競合に先駆けることになる。
記載している技術革新に直接関係がなくても、それぞれの技術革新の周辺で、自社のノウハウを活かせる領域を見つけ出すことが必要である。成功させるためには、やはり自社が培ってきた事業領域の延長線上に、技術革新の方向を重ね合わせることが重要である。自社の強みを活かせる方向にかじを切らなければ、新しい領域での勝算は小さいからである。
少なくとも、こうした技術MAPをもとに、将来を構想しつつある会社があるので、こうした流れに遅れることなく、先手を打っていくことが、長期的で持続的な企業の成長に向けて必要である。
執筆者:萩原正英